香りを楽しむ庭木
キンモクセイが香り始めると秋が深まった感じがしますね。今回はキンモクセイ以外にも香りを楽しめる樹木をご紹介します。

こんにちは、ガーデンプラスの中川です。
そろそろキンモクセイが香る季節ですね!お庭や街のキンモクセイに小さな青いつぼみがたくさんついているのを毎日チェックしている今日この頃です。ところで花の香りというと、バラをはじめ、ユリやハーブなどの草花が注目されがちですが、キンモクセイをはじめ樹木にも香り高い品種がたくさんあります。以前三大香木といって、香り高い3つの木「キンモクセイ」「ジンチョウゲ」「クチナシ」をご紹介しましたが、今回は他にもお庭で楽しめる香りのよい木をご紹介いたします。
香りを楽しめる庭木
◆ソシンロウバイ
お正月を迎え、澄んだ冷たい空気の中に漂う清々しい香りです。開花期は梅の花よりも早く、12月中旬から咲きだすところも。あまり土壌を選ばない、目立った病害虫も少ない、自然と樹形も整って育つなどなど、同じ時期に咲く梅と比べると、ロウバイの方が手間いらずです。半透明に見えるほど艶のある黄色い花が枝いっぱいにつく姿は、春の始まりを喜ぶように見えますね。
◆ミカンの花
「ミカンの花が咲いている」という出だしで始まる童謡「みかんの花咲く丘」で、親しまれている方も多いのではないでしょうか?柑橘類の庭木の中でも温州ミカンは、5月初めの初夏の気配を感じるころ、成長緩やかな常緑樹の普段の姿からびっくりするほどの白い花が咲きだします。花の香りは、果実とは違ってとても甘い香りです。
温州みかんはガーデンプラスのエコプロジェクト「プラントプラン」のプレゼント樹木にもなっている育てやすい果樹です。当店にて外構工事のご予定がある方はぜひご参加ください。
◆ハゴロモジャスミン
つる性の植物で茎も細く、葉も小さめで繊細な印象のジャスミンの一種。ジャスミン類はどれもよい香りがしますが、特にハゴロモジャスミンは見た目も美しく、つぼみの濃いピンクと内側の白い花のコントラストが楽しめます。これもミカンの花と同じくとても甘い香りで、初夏の風に揺れる姿も美しいものです。やや寒さに弱いので、庭木にする際には寒風のあたらない場所に植えてあげてください。
このページの一番上で紹介したハニーサックル(スイカズラ)もつる性の植物で、ジャスミンにやや柑橘系の爽やかさをプラスしたような香り。丈夫で育てやすく、花色も白や黄色、ピンクもあっておすすめですよ。
◆バイカウツギ「ベル・エトワール」
アジサイと同じユキノシタ科であるウツギの品種は香りがしないものの方が多いのですが、ヨーロッパで品種改良されたこの「ベル・エトワール」は見た目・香り・育てやすさも素晴らしい庭木。7月頃に白い花をたくさんつけ、香りでも美しさでも初夏のお庭を華やかにしてくれます。病害虫もほとんどなく、剪定にも強いので大きくもコンパクトにも仕立てられるのが特徴です。
◆コニファー「ブルーアイス」
こちらは花の香りではなく葉の香りを楽しめる、家庭向けの針葉樹。松やヒバをはじめ、針葉樹には独特の清々しい香りがありますが、ブルーアイスの葉には特に香りが多く含まれ、剪定後はフレッシュリースなどを作るのもおすすめです。ドライになってもしばらく色と香りが楽しめますよ。
香りと植物の関係
少し趣向を変えて、植物が香りを持つ理由を考えてみましょう。現在いくつかの理由が考えらていますが、一つは自分の子孫を増やすため。多くの植物で香りを放つのは花の部分ですが、ここは受粉して種を作るための場所です。香りで虫を呼び、蜜を提供する代わりに雄しべの花粉を雌しべへ運んでもらって、種を作ります。ほかにも色やかたちなど、それぞれ花は工夫して虫に花粉を運んでもらっています。
もう一つの理由が、虫に食べられないため。花の香りとは全く逆の発想なのですが、これは花ではなく葉っぱに香り成分を含む植物に多く見られます。葉に香りをつけることで虫を避け、光合成するための葉を維持しているのです。おもしろいことに虫も知恵をつけ、他の多くの虫が嫌う葉っぱしか食べないことで、競争相手のいない環境で育つ種類もいます。
花と葉、香りを作る理由がこんなにも違うのも面白いですね。
実は虫には人気のないキンモクセイの香り
多くの人が好むキンモクセイの香りですが、キンモクセイに多くの蝶や蜂が寄っているところを見た方は少ないと思います。実はあんなに素晴らしい甘い香りがするキンモクセイですが、あの香りに寄ってくる虫は小さなアブの一種「ホソヒラタアブ」だけ。むしろ虫が嫌う成分が含まれた香りなのだそうで、多くの虫はキンモクセイに寄ってきません。裏を返せば、キンモクセイは小さなアブだけを狙い撃ちする香りを作り、次々と別の株の金木犀に花粉を運んでもらう戦略をとっています。
そんな生存戦略をとっているキンモクセイですが、実は雌雄異株といって、雄の株と雌の株が別です。そして雄の株の方が花が多く、香りが強いため、中国から日本へ持ち込まれた際にはほとんどが雄株でした。また種ではなく、取り木や挿し木で増やすことができるため、今でも日本のキンモクセイは雄株ばかりです。せっかく虫を呼んでも結実しないのは気の毒ですが、その香りが人間に愛されたおかげで多くのお庭に植えられることになったので、結果的にはキンモクセイの目論見通りになったのかも知れません。
いかがでしたでしょうか?自分で場所を選べない植物には、仲間を増やすため・生き残るための戦略がたくさん詰まった姿をしているものが多く、香りひとつとっても面白い発見がたくさんあります。動物にとっては不自由な存在に思えますが、植物にとっては案外動物の方が融通の利かない生き物に見えているかも知れませんね。ぜひご紹介したような香りを楽しめる木を庭に植えて、どんな虫が訪れるのかも観察してみてください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。もうすぐ我が家のまわりでもキンモクセイが咲きそうです。秋のお散歩が楽しみですね!
ガーデンプラス本部
Web担当
中川知春
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