種類豊富で香りも素晴らしい冬の花・スイセン。種類や育て方について
日本でも群生が見事なスイセン、実は地中海原産で一万種以上の園芸品種がある世界で愛されるお花です。

こんにちは、ガーデンプラスの中川です。
今回ご紹介するのは、今が見頃のスイセン。群生が観光名所になっているところも多いですね。ガーデンプラス本社のある神戸では、淡路島の灘黒岩水仙郷が有名です。
日本の山野に自生するスイセンのほとんどはニホンスイセンと呼ばれる種類。基本的なつくりは内側に花弁が3枚、外側にガクが3枚、中央にはめしべとおしべの周りに黄色いリング状の副冠と呼ばれる部分があります。
日本の各地で見られるスイセンですが、実は原産国は地中海沿岸。スイセンの英名の語源となったナルキッソスの伝説はご存じの方も多いと思います。ヨーロッパでも古くから愛されてきたため、園芸品種もたくさん作出され、英国王立園芸協会では現在12のカテゴリに一万種ほどが登録されているとのことです。
普段はニホンスイセンばかりを見ているので、品種と言われてもピンとこない方も多いのではないでしょうか?今回は育てやすく香りも抜群に良いスイセンについて、品種を中心にご紹介していこうと思います。
アジアとヨーロッパで違う?スイセンのイメージ
地中海原産のスイセンは、中国経由で日本に入ってきました。英名はナルキッソスですが、中国では「水仙」と呼ばれ、日本でもその名が定着しています。
実はナルキッソスも水仙も、水辺に由来する名前です。水仙とは字の通り「清らかな水辺に住む仙人」のことで、冬に咲く高潔な雰囲気が仙人に例えられたのでしょう。ナルキッソスは、美しい自分の姿を水面に映して眺めていた少年が花になったという伝説から。どちらも水辺という点が共通していますね。
しかしこの2つの名前、実は佇んでいるかうつむいているかの違いがあり、ニホンスイセンは顔を前に向けた形なのに対して、ヨーロッパ原産の原種水仙はまさしく水辺で自分の姿を覗き込むように、うつむいた形なんです。ヨーロッパとアジアでは少し水仙に対する印象も違っていそうですね。
また開花期もニホンスイセンと洋種スイセンでは違います。ニホンスイセンは12月から3月ぐらいの厳冬期に開花しますが、ラッパスイセンをはじめとする洋種スイセンは3月からの春が開花期の本番。日本では雪のイメージですが、ヨーロッパでは春のイメージなんです。
それでは、スイセンの品種についてご紹介していきます。
房咲きスイセン(タゼッタ咲き)
ニホンスイセンに馴染みのある私たちには、スイセンといえば一本の茎にたくさんの花を咲かせる房咲きのイメージ。ですがラッパスイセンをはじめとした洋種スイセンには1つの株に1輪の花の品種も多く、房咲きスイセンは「タゼッタ種」というカテゴリに入ります。代表品種はニホンスイセンですが、写真は原種に近い「ペーパーホワイト」という品種。副冠は小さく真っ白なので、ぱっと見たときにはスイセンとは分からないかもしれないですね。清楚な風情に香りも良い品種です。
ジョンキル系スイセン
原種スイセンは小型で山野草のイメージに近いので和風のお庭にもよく合います。日本では黄水仙としても流通するジョンキル系スイセンは、原種スイセンのひとつ。その名の通り花弁も副冠も黄色です。
ペチコートスイセン
こちらは副冠が大きく育つことからペチコートスイセンとも呼ばれているバルボコジューム系スイセン。バルボコジューム系・トリアンドルス系は花弁が細く俯いて咲き、雫やベルのような咲き方に。一見するとスイセンとは見えないような形ですね。原種系は1月~4月が開花期なので、ラッパスイセンよりも一足先に開花しはじめます。
ラッパスイセン
洋種スイセンの代表品種はラッパスイセンです。一本の茎にひとつの大きな花が咲きます。副冠と呼ばれる部分がラッパのように大きく、大カップ咲き・小カップ咲き・八重咲と変化した品種がありますが、最近では更にバタフライ咲きという形も。また副冠の色もベーシックなイエローから白、サーモンピンクといった色も作出され、変化に富んでいます。
口紅スイセン
ラッパスイセンと似ていますが、副冠がやや短く、縁取りの色が異なる種類は口紅スイセンと呼ばれます。確かにリップをつけたような外見ですね。副冠のフリルがより目立ち、豪華な雰囲気です。
香りで選ぶなら八重咲き系
スイセンの特筆すべき特徴はその香り。甘く清々しいスイセンの香りは、香水の材料としても使われ、有名どころでは「シャネルNo.5」や「ナルシス・ノワール」といった名香にも使われています。ラベンダーと同じ香り成分が含まれ、癒し効果があるそうです。
八重咲き系の品種は香りが強いものが多いので、ぜひ鉢植えで育てて顔を近づけられる窓辺に置いてみてくださいね。もちろん庭で咲いた花を活けるのもおすすめです。新鮮で甘い香りは、冬の冷えた空気に春を呼び込むように感じられます。
育てる上での注意
球根植物で、9月~11月頃に球根を庭や鉢に植え付け、開花までは球根内の栄養分を使うので極度の乾燥以外には特に注意することはありません。4~5年植えっぱなしにしても毎年咲いてくれるほど丈夫なスイセン。来年も花を咲かせたいのであれば、花が終わっても葉が黄色く枯れるまでそのままにしておくようにしてください。葉が緑色のうちは球根に養分を貯めておく時期なので、切ってしまうと来年栄養不足で花が咲かなくなってしまいます。
また体全体に毒があり、球根はもちろん葉や茎も口にしないようにしてください。わんちゃんや猫ちゃんだけでなく、人間でもたまにニラやネギと間違えて中毒を起こした事件を聞きます。土の中では分球して勢力を広げていきますので、うっかり間違えないように気を付けて。
いかがでしたでしょうか?古くから世界中で育てられているだけあって様々な品種や伝説を持つスイセン。球根を植えられなかった方も、今なら鉢植えでつぼみのものが流通していますので、花を楽しんだあとはお庭に植え替えて来年まで育ててみてはいかがでしょうか?

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今年の我が家のスイセンは12月に咲きました!切り花にしても長持ちし、香りを楽しんでいます。育てやすく何年も楽しめるスイセン、ぜひお気に入りの品種を見つけて育ててみてくださいね!
ガーデンプラス本部
Web担当
中川知春
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