かんたん庭レシピNo. RCP21495植栽情報

posted by  ガーデンプラス本部

お庭にもおすすめの日本のバラ「ツバキ」

庭木としても古くから愛されてきた早春の花「ツバキ」をご紹介いたします。

リトルミイB

こんにちは、ガーデンプラスの中川です。

 

本日ご紹介するのは早春を代表する樹木「ツバキ」です。学名は「Camellia Japonica」といい、日本を代表する花のひとつ。ヨーロッパでは「日本のバラ」と呼ばれています。見どころはなんといってもその花姿ですが、品種も多様で開花期も長いため、庭木にもおすすめです。奥深いツバキの世界をご紹介いたします。

ツバキの歴史

これぞツバキといった一重筒咲の「出雲大社ヤブツバキ」

これぞツバキといった一重筒咲の「出雲大社ヤブツバキ」

東北以南に自生していたツバキは、元々油を採るための植物として親しまれてきました。種から採れるツバキ油は、現代でも日本女性のヘアケアに使われていますよね。そのころはまだ「作物」だったツバキが、観賞用として大きく発展したのは江戸時代。2代将軍徳川秀忠がツバキの花を愛して作らせた椿園には、諸国の大名が献上した各地のツバキが集まりました。逆に各地へ持ち帰られたツバキもあり、各地で交配が進んで、地方独特の花姿が作出されています。

 

また長崎の出島からヨーロッパへも持ち帰られ、雪深いヨーロッパでも咲く花として愛好されました。イングリッシュガーデンでも早春にツバキの花を見ることができます。現在もヨーロッパはもちろん、アメリカやニュージーランドでも作出されています。

サザンカとの違い

同じツバキ科の「サザンカ」。葉は小さく、花びらが一枚ずつ散る

同じツバキ科の「サザンカ」。葉は小さく、花びらが一枚ずつ散る

同じツバキ科の植物で、冬に咲く植物に「サザンカ」があります。サザンカも日本固有種で、よくツバキと間違われます。

 

もっとも大きな違いは花の散り方で、ツバキは花ごとポトリと落ちるのに対し、サザンカは花びらが一枚ずつ落ちていきます。また葉を日に透かすと、ツバキは葉脈が見えますが、サザンカは葉脈が見えません。ツバキと比べて小ぶりで繊細な印象の葉っぱです。日陰にも比較的強いので生垣として使われることが多いのですが、この強健さを生かしてツバキの接木用の台として使われることもあります。

 

また同じツバキ科の植物で世界中に知られているのがチャ(茶)の木。よくよく見るとツバキの葉と似ているのがわかります。

色と咲き方、花芯のかたちで千差万別

覆輪が入る「玉の浦」、五島列島の自生種から作出されたもの

覆輪が入る「玉の浦」、五島列島の自生種から作出されたもの

ツバキの花色は、白・ピンク・赤が一般的。赤は黒みを帯びた濃い赤もあります。ほかには中国系統でクリーム色っぽい黄色味を帯びたものも。花色は決して多くはないのですが、その色の入り方は「白斑」「覆輪」「絞り」など様々です。

 

上の写真は一重咲きに覆輪が美しい「玉の浦」。一重咲きの中でも筒咲きと呼ばれる、少しすぼまったような形です。

「加賀八朔」は、茶の湯が盛んな加賀椿の代表品種

「加賀八朔」は、茶の湯が盛んな加賀椿の代表品種

加賀椿の代表花「加賀八朔」。茶の湯が盛んな加賀藩から作出されました。「椀咲き」というお椀のように丸みを帯びた咲き方で、つぼみの時もふっくらと丸い姿です。加賀椿はお茶席に合うような、清楚で一輪でも美しい花姿の品種が多いのが特徴。また積雪にも耐えるよう変化したツバキの原種「ユキツバキ」を交配したものもあります

肥後椿の特徴である梅芯咲きの椿

肥後椿の特徴である梅芯咲きの椿

こちらは雄しべが梅の花のように丸く開いているタイプで、梅芯と呼ばれます。実は梅芯ツバキは肥後藩・細川家が門外不出としていた品種で、現在は肥後椿として愛されています。

関西では「月心」と呼ばれる「卜伴」。花芯が大きく、月のよう。

関西では「月心」と呼ばれる「卜伴」。花芯が大きく、月のよう。

こちらは唐子咲きの代表品種「卜伴(ぼくはん)」。唐子咲きとは、写真のように雄しべが膨らんで小さな花の集合体のように丸く見える咲き方をするタイプです。関西では「月心」とも呼ばれていますが、赤い花びらに真っ白な丸い雄しべは確かに月のように見えますね。

白地に赤の絞りが入る「花車」

白地に赤の絞りが入る「花車」

こちらは八重咲で、花芯が花びらに変化している様子が分かる「花車」。雄しべが花びらのように変化した咲き方をするものでは、「獅子咲き」「カーネーション咲き」といったものもあり、ぱっと見るとツバキとは思えないような豪華さがありますよ。

 

ツバキとして登録されている品種は数千種にも上り、そして不思議なことに江戸時代に作出されたようなクラシカルな品種でも未だに愛されているという魅力があります。ぜひお気に入りの品種を探してみてください。

庭木として育てるなら

早咲きの江戸椿「太郎冠者」は、名前に似合わず優しいピンクの花

早咲きの江戸椿「太郎冠者」は、名前に似合わず優しいピンクの花

常緑で強健な種類が多く、開花期も長いツバキは、古くから日本のお庭に植えられてきました。育てやすいものの、成長は比較的遅めなので、苗から育てるよりもある程度大きくなった木のほうが見ごたえがあります。育てやすいとは言え、大輪種を咲かせるのにはやはり肥料など手間暇かかるものです。初心者の方は小型~中輪種を選び、小さくてもたくさん咲かせるところから入ってみましょう。おすすめは上方つばきの代表「加茂本阿弥」や、これぞツバキという風情の「出雲大社ヤブツバキ」などなど。実は鉢植えでも楽しめるので、気に入った品種を大きな鉢に植え替えて楽しむのもいいですね。

千重咲きに可憐なピンクの「乙女椿」。樹形は横に広がるので余裕をもって植えて。

千重咲きに可憐なピンクの「乙女椿」。樹形は横に広がるので余裕をもって植えて。

また上に伸びる立性タイプならば狭いお庭にも植えられますが、横に広がったり這性の品種もありますので、その場合は周りに余裕をもって植えるようにしてください。比較的日陰にも耐えられますが、明るい日陰や半日陰(午前中だけ・午後だけ日が当たる)といったところがおすすめです。

 

もっとも気を遣うところは、春先の「チャドクガ」というツバキ科につくガの幼虫(毛虫)の発生です。卵のときから毒をもっていますので、素手で触らないようにしてください(虫が死んでも毛には毒がありますからご注意を!)。虫のついた葉ごと捨ててしまうか、殺虫剤で駆除します。また夏ごろに枝を剪定して、風通しを良くしておくことも重要です。

 

 

 

ツバキはこれから各地で見ごろを迎えます。ぜひ花の姿に着目して各地のツバキ園を散策し、お庭に迎えたい品種を探してみてはいかがでしょうか?

 

 

リトルミイ

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中川知春(ガーデンプラス本部)

ツバキは枝変わりといって、一つの株なのに一枝だけ遺伝子が変異して変わった花がつくことがあります。その枝をまた接ぎ木して新しい品種を作り出すことができるので、これほどバリエーション豊富になりました。公園などでもぜひ枝変わりのツバキを探してみてくださいね。

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中川知春

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